臨床心理士と公認心理師どっちをとるべき?違いも含めて徹底解説

カウンセラーを目ざし、心理臨床家になりたいという方はどちらも聞いたことがあるかと思います。

 

私はどちらも取得しておりますが、結論から言ってしまいますと、
この記事を書いている今の段階(2020年7月現在)では、


どちらも取得しておくべき


です。

 

今回の記事は全体的にスパルタですが、本気でなりたいのであればぜひ見ていってください。
理由も含めて解説していきますね。

 

○ちなみに違いについてはyoutubeで解説しています。

そちらも御覧ください。

youtu.be


臨床心理士公認心理師それぞれの違い】


臨床心理士
民間資格
▪大学院卒が最低条件(大学院によって違いあり)
▪試験は1次が筆記、2次は面接
▪専門性高い
▪求人は多め
▪5年ごとに更新が必要

 

公認心理師
▪国家資格
▪大卒が最低条件
(一部例外あり)
▪試験は筆記のみ
▪専門性低い
▪出来たばかりなため、公認心理師に特化した求人は少なめ
▪更新必要なし


ざっくりと違いをまとめました。
では1つずつ見ていきましょう。

 


臨床心理士


民間資格
日本臨床心理士会という団体が発行している資格になります。
よく勘違いされている方いますが、臨床心理士は民間の資格です。


▪大学院卒が最低条件(大学院によって違いあり)
少なくとも大学+大学院の計6年以上、在学が必要になります。
第1種といわれている大学院ですと6年ですが、第2種になると卒業してからもさらに実務経験が必要になりますので、もっと時間を要します。

 

▪試験は1次が筆記+論述、2次は面接
まずは筆記+論述である1次試験に受かる必要があります。
1次試験で落ちてしまった場合には、2次試験の面接にはたどり着けません。
もし2次試験で落ちてしまった場合、また次に受ける際は1次試験からのスタートです。

 

▪専門性高い
最低6年勉強をしているので、かなり専門性は高くなります。
また、大学院での2年間は、カウンセラーになる自分自身と向き合う時間が増えてきます。


臨床家としての心構えや、自分のコンプレックスと向き合う時間になりますので、耐えきれず、ドロップアウトしていく人も少なくありません。
私も大学院在学中の時には、同期が数名辞めたり、体調を崩してしまっていました。
ここを無事に乗り越えてこそ、カウンセラーの1歩が踏み出せると言っても過言ではありません。

 

▪求人は多め
今の段階ですと、公認心理師単体での記載というのはそこまで多くはないかと思います。
国や自治体が募集しているもの(スクールカウンセラーなど)は、公認心理師との記載はありますが、
医療関係、民間企業などは、臨床心理士公認心理師いずれか、というような記載が多いです。

 

▪5年ごとに更新が必要
臨床心理士は専門性を保つため、資格の更新が必要になります。
なお、更新するためには学会やセミナー、論文などを書き、ポイントを集めて日本臨床心理士会に届け出なければなりません。

つまり、臨床心理士はかなりの専門性を保っている資格、ということになります。

 

公認心理師


▪国家資格
▪大卒が最低条件
(一部例外あり)
▪試験は筆記のみ
▪専門性低い
▪出来たばかりなため、公認心理師に特化した求人は少なめ
▪更新必要なし

 

公認心理師は国家資格です。


ちなみに公認心理師厚生労働省が発行している資格になります。
公認心理師の一番の強みとしては、今後検討されている、カウンセリングの保険適応がされた際に、重宝されるということについてですね。


医療報酬の点数は2年に1度改定されます。
今年、つまり2020年の4月に改定されましたが、今回は厚生労働省新型コロナウイルスの影響により忙しかったのでしょう。
カウンセリングの保険適応は一部のみされましたが、全体的には適応されませんでした。

条件も割とあることから、臨んでいる方が受けられないということが引き続き発生してしまいますね。
また2年後に期待ですね。

 

資格試験は筆記のみで面接はありません。
資格の更新も、今のところはありません。

 

公認心理師の問題点】


ここまで見た方は、
臨床心理士と比べると早く取れるし、試験も楽だし、公認心理師だけで良いじゃん」
そう思われる方、そしてこのように考えている方、沢山いると思います。

ですが、この考えは非常に危険です。

問題点は2つあると思っています。

 

①専門性の欠如
1番の懸念点としては、臨床心理士と比べると4年でサクッととれてしまうことで、臨床家の心構えとして大切な大学院生活がすっぽりと抜け落ちてしまうところ、です。
私たちの仕事はかなりデリケートかつ、専門性が非常に問われる仕事です。
間違った知識の使い方をすると、下手な話、相談者を言葉ひとつで簡単に追い込むことだってできてしまう、そういう世界なのです。

 

文科省や大学側も色々と考えてカリキュラムを組んでいるのだと思いますが、
大学を出たばかりの20代前半の人がやすやすと現場に出ていいのだろうか、とは正直思います。

 

最初に働く場所での徹底した教育は必須になっていくことかと思いますが、
受け入れる側の余裕が果たしてあるのかどうかは疑問です。

 

また、資格の更新も必要ないため、継続して自己研鑽することも必須ではないわけですね。
専門性の担保が出来るのかどうか。

 


②カウンセラーに向かない人もなれてしまう
前回の記事では、カウンセラーにむく人向かない人というテーマでお話させて頂きましたが、ここと関連してきます。

前回の記事は↓からどうぞ。

 

cpmarimonoheya.hatenadiary.jp

 


臨床心理士は2次試験で面接がありますので、面接の場で現役の臨床心理士

「この人はカウンセラーとしてやっていって大丈夫か」
という最低限のところをチェックします。
そして、明らかに向いていない人はふるい落とされるわけです。

 

ですが一方で公認心理師はどうでしょうか。
試験は筆記のみなので、面接などではかれないんですよね。
つまり、カウンセラーとして向かない人であったとしても、点数さえ取れてしまえば資格が取得できてしまうのです。

相談者のことを考えると、この制度で大丈夫なのだろうか、と心配になります。

 


【まとめ】


臨床心理士公認心理師どちらを取得しておくべきかということについては、どちらも取得しておいていただきたい、というのが結論です。

 

ちなみにですが、私たちの業界では、今後は専門性を担保するために、臨床心理士公認心理師のどちらも所持していることを最低条件とするような求人が出てくるだろうと言われています。
個人的には国や自治体が募集する求人や、医療関係なども自死の危険性などが高いことから、そうなるだろうなと考えています。

 

また、大卒でとれるというこはハードルが低くなるぶん、臨床心理士とは比べ物にならないほどの公認心理師が毎年誕生することになりますよね。
現状、臨床心理士などカウンセラーの募集はあることはありますが、職探しって皆さんが思われている以上に相当大変なんです。


これは色々と理由がありますが、即戦力=ベテランを欲しがっているところが大多数です。
そうなってくると、他の人とは何が違うのかという差別化や専門性、経験値もかなり必要になってきますよね。

 

そういった観点からも、両方保持するのがオススメです。